一時は盛り上がったクラウドソーシングについての話題も最近はあまり聞かなくなりました。
旬が過ぎたと言うか、すでに新しい仕事の発注・受注方法として定着してしまったのか、またはそのどちらもなのか。。
ともかく、私も沢山の仕事をクラウドソーシングで受けてきた経験があります。
今回は、私が受注する立場(クラウドワーカーといいます)として気をつけていること「落とし穴案件にはまらない方法」をお話したいと思います。
目次
落とし穴案件とは?
落とし穴案件とはどういう案件のことでしょうか。
いろんなパターンがありますが、共通しているのは「クラウドワーカーに対して愛の感じられない案件」です。
それは予算(発注金額)が低いとかそういう表面的なことではなく、もっと深い部分にあります。
コミュニケーションコストを無視した募集
落とし穴案件で一番多いのは、「クラウドワーカーのコミュニケーションコストを度外視した案件」だと思います。
例えば、次のような募集があったとします。
WEBサイトのリニューアルをお願いします。
現在のサイトはhttp://◯◯◯.com です。
イメージするサイトはhttp://◯◯◯.com です。納期は1ヶ月以内を考えています。
予算はご提案下さい。
よろしくおねがいします。
ここまでひどい案件は最近少なくなってきていますが、このレベルの募集はWEB関連の募集以外を含めたら沢山あります。
とにかく情報が少ない。
私はこの案件内容を見た時、
- 今のサイトのどこが問題だと思ってリニューアルするのか
- 参考サイトのどこが良いのか
- デザインやワイヤーフレームは提供してもらえるのか
- ブログ等CMSは組み込むのか
- サーバーは何を使ってるのか
- WordPress前提なのか、静的サイトを意図しているのか
- コーディング規約はあるのか
- サイトマップはあるか
等、細かいものを含めたらこの10倍位の疑問が出てきます。
これらを全て明確にしないと、見積もりなど出るはずありません。
つまり、見積もりを出せるまでに沢山のやり取りやヒアリングの期間が必要になります。
この案件で見積もりを出せる状態までのコミュニケーション時間・コストは、完全にクラウドワーカー側の負担となるでしょう。
さらにそれが1対1で話を進めていける状況ではなく、広く募集している状態だと、受注が確定する可能性もぐっと低くなるわけです。
そんな状況でこの案件を進めようと思うはずもありません。
この案件内容を見て「よし応募だ」となる人は落とし穴に飛び込む勇気がある勇敢な人です。
いや、ひょっとしたら細かい話を進めるうちに、結構良い案件だった という場合もあるかもしれません。
虎穴に入らずんば虎子を得ずとも言います。積極的にこういう案件に飛び込むという戦略も一つなのかもしれません。
ですが、私はこういう説明不足の案件には一切コミュニケーションをすることもありません。
仕事をお願いする側にも礼儀があると思いますし、クラウドワーカーが理解をしやすい募集方法、ということを一切度外視している「愛が無い」案件だと判断するからです。
めんどくさい発注者
結局こういう案件が絶えないのは、クライアントとクラウドワーカーの需要と供給のバランスが正常で無いからだと思います。
仕事を発注したいクライアントに対して、仕事をしたいクラウドワーカーの数が多すぎる。
その需給バランスが故に、多少適当な募集方法でも手を挙げるクラウドワーカーは見つかるだろう。
というような発注者側の思惑が見え隠れします。
また、細かい事は直接会話で伝えるつもりで、それを募集時に文章に起こすのが面倒くさいというクライアントの事情もあるかもしれません。
ですが、これも落とし穴です。
説明に手間を掛けられないクライアントは、その後の案件途中でもきっとほぼクラウドワーカーに丸投げ状態になる可能性が高いです。
クラウドワーカーのやりやすいように進めていき、すんなり納品ができれば問題は無いでしょう。
ですがこういうクライアントに限って、「こんなイメージじゃなかった」だの「言い忘れたけど、このページもほしいんだよね」等の後付けで前提を覆してきます。
つまり、募集時点で考える事を放棄しているがゆえに、後になって思い出したように付け加えるパターンです。
これは落とし穴以外の何ものでもないでしょう。
評価の低い発注者
また、過去の評価の低い発注者も避けたほうが良いでしょう。
多くの場合、発注者の評価というのは、まず発注側がクラウドワーカーに対して悪い評価をつけることが原因ではじまります。
その悪い評価を受けたクラウドワーカー側から「そっちの依頼も悪い」「こんなはずじゃなかった」とお返しでクライアントも悪い評価になる。
というパターンがほとんどでしょう。
つまり、依頼方法や進め方に難があるという証拠になります。
悪い評価の履歴があるということは、それだけ自分も落とし穴にはまるリスクも多いという認識でいて下さい。
そもそも低評価(★5つ中★1~3程度)が2個以上ある発注者の案件には応募しないようにした方が安心です。
落とし穴案件の対処
ではそのような落とし穴案件の依頼に対し、どう対処すべきでしょうか。
募集を見かけただけなら、確実にスルーをしていいでしょう。
稀に、直接依頼がある場合もあります。
そういう場合も、基本的に依頼を無視します。
メールに返さないということです。落とし穴案件に時間を浪費している場合ではありませんので、、
ただし、他のクラウドワーカーでは対応が難しいと思われる専門性の必要な案件に関しては、少し突っ込んでみます。
質問を織り交ぜながら、まずは概算見積もりを出します。例えば、
「詳細を聞かないと正確なお見積りが出せませんが、概ね、10万円~30万円の間に収まる可能性が高いです。
その幅が予算的に問題無いようでしたら細かい打ち合わせに進ませていただければと思います。」
という「ジャブ」を打っておいて、相手の反応を見ます。
そのメッセージに対して概算見積もり金額は問題無いということと、質問に対する回答がある程度具体的な内容であった場合には、その後の詳細見積もりまで付き合う事もあります。
まずは、概算見積もりを出して発注者の出方を見てみれば、落とし穴案件も美味しい案件になる場合もゼロではないという事例です。
まとめ
クラウドソーシングは、使い方や使う人にとってはとても有益なサービスです。
サラリーマンがお小遣い稼ぎのための副業として、または忙しい主婦の空き時間を換金する機会として等。
いろいろな立場もありますが、人を雇うほどではないと考える発注者と、通勤して働く事が難しいクラウドワーカーの出会いの場としては非常によく出来た仕組みです。
それを逆手に取った、「安い労働力を買いたたく場」にする発注者・クライアントをしっかり見極め、落とし穴案件で疲弊しないようにしたいものですね。