空前の転職ブームと言われる最近ですが、求人している会社名が『合同会社』という文字が入っているのを見ることが増えてきたように感じませんか?
今回は、合同会社ってなんなの?
というところから、合同会社で働くのは実際どうなの?
とか、合同会社で働くのは心配ないの?
という点について書いてみたいと思います。
目次
合同会社とは
まず、『合同会社』とはどういうものかを説明しましょう。
合同会社は、日本では2006年の(新)会社法の制定により設立が可能になった法人形態です。
日本版LLCという略称で呼ばれたりします。
実は株式会社とそれほど大きな違いはありません。
株式会社の『株主』は、合同会社で言えば『出資者』と言うとか、株式会社は持株数に比例した利益分配であるのに対し、合同会社は出資者の利益配分割合は自由に決めることができたりする点は異なります。
株式会社同様に、出資者は自分が出資をした金額以上の責任・リスクを追わない「有限責任」であるという性質は株式会社と全く同じです。
株式会社に比べ、合同会社は設立のコストが低く、決算の内容を一般に開示する必要が無いこともあり、個人事業主の法人化の第一歩としての会社形態としても人気です。
そんな合同会社も、制度化されもう12年が経ち、徐々に増え始めてきています。
例えばAmazonやApple、西友などが合同会社の形態を取っているのは知る人ぞ知る豆知識です。
こういった名だたる大企業でも、合同会社は使われ始めており、今後の認知の向上も期待されている会社形態です。
上場や大きな資本政策の予定はない
合同会社の特徴として、大きな資本政策を行いにくい点があります。
新株を発行して資金調達をしたり、M&Aで会社を売却したりなどという資本政策は株式会社ならではの資金調達方法です。
一方合同会社は、規模をどんどん大きくするといった予定が無い場合にも適した会社形態であると言えます。
個人事業の延長である場合が多い
先に触れたAppleやAmazonは別として、一般的に合同会社は個人経営であったり、一人社長企業のような小規模の会社である場合が多いです。
あくまで比較的そうだ ということであって、全てがそういうわけではありませんが、能力がある一人ないしは二人が中心になって事業を行う場合が多いです。
合同会社で働くときに気をつけること
合同会社の概念について理解を深めたところで、求職者側から見た合同会社って実際どうなんだろう という点について考えてみます。
合同会社の説明で、個人事業の延長である場合が多いという性質上、どうしても一般的な株式会社のイメージとはかけ離れた場合が多いでしょう。
合同会社で働くためには、以下の点を認識した上で決断をすることをおすすめします。
代表者の性格や能力
良くも悪くも代表者の能力に会社の未来は依存することになります。
ですので、そもそも能力が無い人物であったり、能力はあっても人間的に下劣な人であれば、企業としての存続自体が危うい場合が少なくないでしょう。
大きな組織ではないため、人を使うことにも慣れていないような場合もあり、従業員を軽視するような代表者である可能性もあるでしょう。
面接のときには、必ず代表者をしっかり見定め、「この人の元でならなんとか働けそう」と思えることが必要になります。
ここで合わない人の会社を選んでしまうと、少人数であるがゆえに地獄でしょう。
会社が黒字なのか赤字なのか
合同会社は規模が小さい場合が多いでしょう。
すると会社自体に体力が少なく、少しの経営状況悪化で倒産・解散をするということもゼロではありません。
この時代、大企業でも倒産や経営破綻は日常で起こりえます。
吹けば飛ぶ程度の合同会社であれば、なおのことそのようなリスクは高まります。
会社の状況を面接で確認することはなかなか難しいとは思いますが、代表者の立ち居振る舞いなどでも会社の状況は推し量れる部分もあるでしょう。
しっかり観察をして、伸びている会社なのかどうかを直感で判断できると良いですね。
社会保険はしっかりかけてくれるのか
規模が小さいことが多く、社会保険に加入させてくれない場合があるかもしれません。
基本的に、合同会社は社会保険の加入は必須であり、勤務実態が社会保険の加入条件に当てはまれば必ず加入させなければいけません。
ですが、社会保険の企業側の負担はかなり大きいため、社会保険を嫌がる場合や「自分で国民健康保険・国民年金に入ってください」という会社もあるかもしれません。
これは、明らかに違反ですので、このような倫理感の無い会社は危険だと見て、逃げる方が自身のためです。
合同会社で働くのが向いている人
以上のような合同会社の性質上、合同会社で働くのが向いている人はどういう人でしょうか。
4つのタイプを挙げてみましょう。
自身に能力を得たい人
まずは、学習意欲の強い人です。
大企業のような縦割りの決まった仕事ではなく、小さい組織かつ代表者の能力によるところが大きいため、その動きを近くで見ることができます。
特にIT系の会社の場合など、ノウハウをふんだんにパクることができる場合があり、自身の能力をつけたい人にはもってこいです。
経営に近いところに身を置きたい人
代表者に近いということは、すなわち経営に近いところに身をおくことになります。
経営に意見をするということはなかなか難しいとは思いますが、従業員一人の働きが会社の業績に大きなインパクトを与えるため、自然と経営感覚も身につけることができます。
見栄にこだわらない人
株式会社や有名企業と違い、合同会社は相対的に無名なことが多いでしょう。
また、従業員数も少なかったりで、知人などに勤務先の話をするときに気後れするかもしれません。
一方、そういうのを全く気にしない人にとっては、合同会社も一考の価値があるでしょう。
将来独立をしたい人
将来、自分で独立をしたいという人も、合同会社に向いているかもしれません。
前述の代表者に近いことや、経営感覚を近くで感じられることから、いざ自分が起業する場合にその経験は有利になるかもしれません。
合同会社で働くのが向いていない人
逆に、合同会社という形態で働くことに向かない人はどんな人でしょうか。
基本的には、向いている人の逆になります。
安定志向の人
そもそも安定志向なタイプです。
公務員とか大企業に憧れるタイプの人ですね。
合同会社は、顧客との取引も安定しないことも多く、業績が不安定になりがちです。
つまり、雇用の面でも安定とは言い切れない場合もあります。
見栄を張りたい人
大企業で働くことをステータスに感じる人です。
同級生や近所の人よりよく見られたい、エリートに見られたい と言った考えを持っている人は全く適さないでしょう。
整備された環境で、自分の役割のみを淡々とやりたい人
大企業のように、自分専用のデスク、専用のパソコン、制服も貸与されて、15時には休憩時間もある。
残業も全く無く、仕事もしっかり決まっていて、終わったら自由にしてていい。。
まぁこんな会社を夢見る方が今どき古いと思いますが、やはり合同会社は規模的にも小さいことから、職場環境も整備が行き届いていないこともあるでしょう。
まとめ
今回挙げたような合同会社の特徴は、やや極端に書いた面があります。
様々な事情で、大きい規模の会社でも合同会社という形態を選ぶ場合もありますし、代表者の能力や人柄がよく、恵まれた職場環境である場合もあるでしょう。
ですので、すべての合同会社に対してこのような特徴があるとは思い込まず、まずは面接であったり、連絡をしてみて自分の目や肌で働くべき会社かを判断していただければ幸いです。