国民の3大義務の一つ、納税。
それ自体は当たり前ですので異論はないですが、、
数ある税金の中でも最も国民に近いであろう「所得税(及び住民税)」。
所得税は、日本の制度ではその計算は自己で行い、申告する必要があります。
つまり、自分で計算して税額を確定し、納税するのが原則です。
この制度を確定申告と言います。
サラリーマンで給与収入しかない場合は特に確定申告は不要です。
ですが、個人事業の場合やいろんな所得がある場合は確定申告とは縁を切ることは出来ません。
今回は、そんな確定申告や日本の税務の不公平さや、非効率さについての話をしたいと思います。
目次
税務・確定申告の不公平さ
確定申告は自己申告をするということですので、どの収入・経費を計上するか、いくら計上するか、いつの日付で計上するか等の全ての判断を自分で行う必要があります。
これがクセモノで、意外と奥が深い。
計上日はいつ?
いつの日付で計上するか ということについては、「発生主義」と明確になっており、その収入の事実によらず、その収益や費用の実現・発生により計上することが原則です。
例えば、5月に仕事を受注・納品し、その代金を7月に受け取った場合でも、売上は5月に計上するのが原則となります。
一方、経費についても同じ考え方です。
6月にパソコンを買って、7月に代金を支払った場合も6月に計上をします。
この計上日についてはそれほど議論の余地は少ないでしょう。
どの収入を計上するか
次に収入の計上判断です。これも、割と明確です。
収入を伴う事象を計上すれば良いのです。
仕事を無料で受注し、納品しても収入が伴わないので計上は0つまり計上は不要です。
ですが、100円で受注したとしたら、100円の収入が確定しているわけですのでそれを計上する。
当たり前のことです。
どの費用を計上するか
問題は、費用の計上です。
どの費用を計上するか。
これは特に個人事業等個人で事業をしている場合に特に議論が起こるポイントです。
いくつか例を挙げてみます。
例1)個人事業者のAさんは、コンビニで100円のアイスクリームを買いました。
Aさんは、取引先の担当者にそのアイスを差し入れ感覚であげました。
この場合のコンビニのレシートは、経費として計上できます。
取引先への差し入れですので、業務上意味がある=収入を得るために必要な支出 と考えることができるのです。
では、次はどうでしょうか
例2)個人事業者のAさんは、コンビニで100円のアイスクリームを買いました。
Aさんは、そのアイスクリームを仕事中に自分で食べました。
この場合は、経費にはなりません。
自らの食費などは生命の維持に必要ではあるが、事業に直接関係無いものと考えられるからです。
例3)個人事業者のAさんは、コンビニで100円のアイスクリームを買いました。
Aさんは、そのアイスクリームをAさんが雇っているスタッフにあげました。
この場合は経費になるでしょう。
スタッフに対しての福利厚生や会議費というような名目で、スタッフの勤務意欲の向上に役立つ=業務遂行に必要とみなすことができるからです。
ここでは例として3つのケースを挙げましたが、その全てが「Aさんがコンビニでアイスクリームを買った」という事実は同じなわけです。
それが、その用途や目的によって経費になるかならないかが変わるわけですよね。
この目的や業務上必要・不要の判断によって経費計上できるかは大きく変わってきます。
つまり、コンビニのレシートを見ただけでは税務署も経費を認めるか認めないかは判断出来ないことになります。
そうすると、個人事業者はその費用を事業に結びつけようとストーリーを作ります。
そして、税務監査が入った場合にはこのストーリーを疑われ、税務監査スタッフの裁量で否認、つまり経費と認めない というような判断がされるのです。
今回はアイスクリームのような小さい例ですが、実際の場合はもっと大きい経費に関して否認される場合があるので、税金が跳ね上がることがあるんですよね。
いくら計上するか
また、最後の「いくら計上するか」の部分も曖昧な部分があります。
例えば個人事業主の場合の自宅の電気代を考えてみます。
電気代一つを例にとっても明確ではありません。具体的に考えてみましょう。
例)
Aさんは賃貸アパートで個人事業及び日常生活をしています。
1ヶ月の電気代は1万円です。
部屋は4つあって、Aさんが仕事場として使っているのはそのうち1部屋です。
アパート全体の面積は70㎡で、仕事部屋は10平米です。
このアパートにはコンセント口が合計20個あって、Aさんの仕事部屋には2個あります。
こんな場合、1万円の電気代のうちどれだけを経費として計上できますか?
実はこの答えはありません。
Aさんが自分で計算し、判断することにより自由に計上することになります。
例えば次のような計算方法が考えられます。
計算1 部屋数で割る場合
1万円を4部屋で割った1部屋分=2500円を計上
計算2 面積で割る場合
1万円を70㎡で割って10㎡を掛ける=1428円を計上
計算3 コンセントの口数で割る場合
1万円を20個で割って、2個を掛ける=1000円を計上
計算4 電気量の使用割合を大雑把に見積もる場合
業務で使うPCは消費電力がとても多いので、全体の50%が業務で使われていると仮定し、
1万円×50%=5000円を計上
他にもいろんな考え方・計算の方法があるかもしれませんが、例えばこのような計算が考えられますよね。
すると、当然経費を多く計上したいので、計算4を採用し、5000円を計上することになります。
しかし!!
税務監査が入ったときに、「これは計算2の方が合理的だから1428円しか認めませんです!!」となる事があります。
えぇぇぇぇーーーーーーー!!
ですよね。
電気代だとその計算は毎月行われるわけで、更に税務監査により過去7年分の経費の計算を修正しなくてはいけなかったりすると。。。
ゾッとしますよね。
こんな監査員のさじ加減や解釈で税額が増える現実
以上のような、どの経費を計上するかとかいくら計上するかとかいう部分では、かなり税務署側の裁量で自らの計算が捻じ曲げられる可能性があります。
さらに言えば、その税務署のスタッフ個人によってもその考え方や否認の判断は異なるでしょう。
それって公平であるべき納税の公平性を歪めることになりませんか?
「なら最初からお前ら計算して税金の請求書をくれよ」と思うのは僕だけでは無いでしょう。
税務署は監査に入ったからには何が何でもお土産=税金を持っていきます。
彼らもタダ働きになるのは避けたいでしょうからね。
ですので、最終的にはこんな解釈の違いで半分無理やりお土産を作ることも考えられます。
どうも納得が出来ません。
税務こそAIを導入できる分野だろ
経費計上を例に出し、その不公平さを書きました。
しかしいつまでこんな「認める、否認する」「ちょっと待った!」みたいな事を続けるんでしょうか。
今やビッグデータやインターネット、AIといったテクノロジーが進化している時代です。
いつまでも税務署職員の裁量や個人判断で、経費計上の妥当性が拒否されるような不公平は即刻是正されるべきだと思います。
「こういう場合で、こういうときは経費を◯%認める。」
みたいなデータを蓄積していけば、簡単にAIで判断することはできるはずです。
それを確定申告という最終段階で事業者が判断するんじゃなくて、その計上する時々にそのAIシステムに確認して計上するかしないかを判断すればとても公平で公正な納税が実現できるはず。
でもあえてしないんですよね、多分。
それをすると、税務署の仕事が減るし、裁量で税金を絞り取る口実が塞がれるわけですから。
だからあえて曖昧な部分を残しておく。
こういうシステムを一切使わず、マイナンバーや電子申告等手続き上のことばかりを整備し、楽をしようという意図が見えるのもなんだかムカつきます。
まとめ
以上、現状の確定申告の不公平・不平等さを書いてみました。
僕は税理士資格も途中までですが取得しています。ある程度税金に関しての知識は深いし興味もあります。
さらにIT技術者としての側面も持っているので、なぜこのITを税務に生かさないのか本当に疑問です。
この制度が続く限りは、個人事業主としてギリギリまで経費を多く計上し、自分に得があるように動いて行くことが正義だと思います。
変に監査を恐れて経費を計上しない とかは意味が無い。
このようなスタンスで今後も真摯に税務・経理・納税を行っていこうと思います。