老後に備えるためにいろんな金融商品があります。
個人年金、iDeCo、定期預金等がその一例です。
特に今まで重宝されたのは、個人年金です。
定期預金より利率も良く節税効果もあるので、サラリーマン・事業主問わず人気のある金融商品でした。
ですが、ここに来て個人型確定拠出年金 通称iDeCoが参戦し、この市場はガラッと変わりました。
今回は、従来のエース商品である個人年金と最新のiDeCoの比較をしていきましょう。
目次
iDeCoが圧倒的にお得
結論からいうと、個人年金とiDeCoであれば圧倒的にiDeCoの方が良いです。
どちらも老後の原資 という意味では目的は同じといえますが、その掛け金の支払いから受け取りまでの過程で受けるメリットが段違いなのです。
主には税金面でのメリットです。
iDeCoは非常に優遇されています。
この辺りは以前具体的に書きましたのでそちらを御覧ください。
個人年金とiDeCoの比較
まずは個人年金とiDeCoの性質の違いを表にしました。
ザーッと見ておいてください。
個人年金 | iDeCo | |
---|---|---|
年間拠出金額 | 上限なし | 上限あり(年金制度の加入状況により個々に異なる) |
利率 | 契約時に確定している | 運用結果により変化 |
途中解約 | できるが 満額戻らない | 原則できない |
所得税の年間所得控除額 | 年間4万円が上限 | 全額が控除可能 |
住民税の年間所得控除額 | 年間2.8万円が上限 | 全額が控除可能 |
配偶者名義の掛け金の所得控除 | できる | できない |
運用先の選択・変更 | 原則できない | 可能 |
インフレ耐性 | ない | ある |
所得税・住民税の所得控除の比較
次に、所得税・住民税においての両者の取扱の違いを見ていきます。
個人年金の場合
個人年金は所得税・住民税においては生命保険料控除の枠に入れられ、終身保険・医療保険等と同じグループとして控除の限度が決まっています。
具体的には年間8万円以上支払うと所得控除が4万円、住民税では2.8万円となり固定されます。
この金額は年収普通~ちょい高めのサラリーマンなら、所得税率が20%+住民税が10%の税率だと思うので年間10,800円程度の節税効果となります。
8万円の加入で10,800円の節税効果なら、金利的な計算でいえば13%以上の投資効率といえますので悪くはありませんよね。
iDeCoの場合
iDeCoの場合は、掛け金に大きな制約があります。
いくらでもOKというわけには行きません。
一般のサラリーマンかつ中小企業で企業年金制度が無い会社に勤めているとします。
すると掛け金の上限は27.6万円となります。
先程と同じ所得と仮定すると、年間の節税額は83,000万円程度となります。
利回り計算をすると、単純に30%となります。
この時点で、個人年金と大きな差がつきますよね。
iDeCoは掛け金の制限が設けられている替わりに、その控除額に制限がありません。
全額が所得控除できます。
その点においても非常に強力な節税効果を生み出すことができます。
正直、iDeCoの圧勝と言えます。
所得税の控除の使い勝手
次に、保険料控除の使い勝手を見てみましょう。
個人年金
個人年金の良いところは加入の名義に関わらず、夫婦で自由に控除ができる点です。
夫名義の保険料控除が限度一杯(具体的には上記のとおり8万円)になりそうなら、溢れた部分は妻に控除を適用することが出来ます。
これは共働き夫婦にはありがたいですよね。
ただし、1つの払込証明書を夫婦で分ける事はできないので、ご注意下さい。
iDeCo
一方iDeCoは、掛け金を負担した本人しか所得税控除が出来ません。
そのかわり掛け金全てが所得控除されるので、夫と妻どちらで控除したほうが得か?
なんていう事を考える必要もありません。
基本的には所得が高い方に加入し、もし余裕があれば低い方も加入することで控除額のメリットを最大限に活かすことが可能です。
受取時の所得税
次に無事60歳まで生きられたとして、そこから年金を受け取るときの税金の話です。
個人年金の場合
個人年金を受け取るときはどのような課税体系になるでしょうか。
細かい計算方法は割愛しますが、基本的には次の式で求められます。
[受け取りの年毎の受取額]から、[掛け金の合計を受け取りの年数で割った額]を控除した金額
が所得税において「雑所得」扱いになります。
例えば、20年間 毎月1万円加入(掛け金合計が240万円)し、運用後の資産が280万円だったとして、60歳から10年間受け取りができる年金だとします。
毎年の雑所得は、280÷10=28万円 ー 240÷10=24万円 = 4万円 となります。
単純に運用益分が所得になるという認識でOKです。
それほど大きな金額の税金がかかるわけではありませんので、安心しても良いと思います。
iDeCoの場合
iDeCoの場合は、2種類の受け取り方があります。
一時受け取り と、分割受け取りです。
一時受け取りは、60歳等で一括で受け取ることができます。
その場合、受取時に全額が退職所得扱いになります。
つまり、会社から出る(と思われる)退職金にプラスしてもらったとみなされるわけです。
退職所得にはある程度の控除額がありますが、その控除額の上限を超えるとその分は控除されず課税されてしまいます。
ですので、自分の勤続年数や退職金の掛け金等の制度を会社に確認しておきましょう。
分割受け取りの場合は、公的年金等控除の対象となります。
65歳未満の場合は年間70万円、65歳以上なら年間120万円以内であれば全額控除出来ます。
しかも一括受け取り、分割受け取りを好きに配分できるのが魅力です。
60歳の退職金として、退職所得控除を超えない程度に受け取り、残りを60歳から65歳の公的年金受給前に分割受け取りをする「ミックス受け取り」を考えるのも現実的です。
これにより、全てを控除額の範囲内で受け取ることが出来、税金はゼロ ということも可能になります。
まとめ
今回は、個人年金とiDeCoを比較してそれぞれの特徴を説明してきました。
詳しく見れば見るほどiDeCoがいかに優遇されている制度かがわかります。
今入るならiDeCo一択。それ以上の余裕があれば個人年金も、、というのが理想だと思います。
iDeCoも個人年金も長い期間付き合う制度です。
トータルの税金負担や将来の必要資金等をしっかり計算して、お得に加入したいものですね。