iDeCoの愛称で親しまれている「個人型確定拠出年金」の加入者が90万人を突破し、もうすぐ100万人になる というニュースが最近出ていました。
日本の労働者人口は約6,600万人ですので、主にiDeCoに加入する層をこの労働者人口と捉えた場合、約1.5%の人が加入していることになります。
今回は普及してきたiDeCoと、同じくお得に返戻金を貰えると数年前から大人気のふるさと納税の両立の話をしてみたいと思います。
どちらも節税効果が高いお得な制度ですので、うまく使って税金を減らしたいですよね。
でははじめます!
目次
iDeCoをかけるとふるさと納税の実質無料枠が減る
まずはじめに伝えたいのは、iDeCoに加入すると、ふるさと納税の実質無料の寄付金限度額が減ります。
その原理を説明しましょう。
iDeCoは所得額を減らす効果がある
まずiDeCoの最大の特徴である、掛け金は全額所得控除出来る という部分を見てみましょう。
このブログでもこの所得控除部分を取り上げ、iDeCoは非常にお得だという話をしました。
詳しくはこちらの記事を読んでいただくとして、iDeCoで節約できる税金の額は、その人の所得額とそれにより決まる税率によっても変わります。
所得額が減ることにより、それに対する税金の額が下がるという節税効果があります。
ふるさと納税は税金の額を限度に出来る
一方ふるさと納税は、自身で選んで決めた自治体への寄付額が、その年分の住民税の額から差し引かれる性質があります。
住民税は、通常その年の所得に応じた住民税額を翌年支払いますので、その減税効果はふるさと納税をした翌年に現れます。
いずれにせよ、その年の所得額にしたがって住民税が決まり、その額を基準にふるさと納税の寄付限度額が決まるわけです。
つまり、所得額が減ると、ふるさと納税の限度額が下がる
今までのところをまとめると、
- iDeCoの拠出により所得額が下がる
- その年の住民税額(支払いは翌年)が下がる
- 住民税額が限度となるふるさと納税の寄付金限度額が下がる
という仕組みになることが理解できるでしょう。
このことにより、iDeCoとふるさと納税とはそのお得になる金額の計算方法は微妙に違うものの、密接に関係していると言っていいでしょう。
どっちが良いか
iDeCoを掛けると、ふるさと納税の寄付金限度額が減るという関係にあるわけですが、実際問題、iDeCoに入るのと入らないのはどちらがオトクなのでしょうか。
この議論の前に、考えるべきことがあります。
iDeCoは、将来の年金資産を積立するものであって、節税はその経過で資産を目減りさせない手段
であるということを認識してください。
つまり、ふるさと納税の寄付限度額が下がってしまうからiDeCoを減らすとか加入しないとかという理論は成立しえないのです。
ここでは、あくまで単純にiDeCoの節税のメリットと、ふるさと納税のメリット どちらが大きいかという一面だけを見てみることにします。
モデルケースで比較
ここでは年収500万円の独身サラリーマン(所得税率20%)が、iDeCoに入らない場合と、月23,000円iDeCoに拠出する場合で比較してみます。
社会保険料控除、配偶者控除、基礎控除などの各種控除は、わかりやすくすべて省いて考えます。
また、税金の復興税率は細かくなるため無いこととします。
iDeCoに入らない場合
所得500万円だと、給与所得が346万円となり、所得税は約26万円、翌年の住民税は約35万円となります。税金負担は合計で61万円ということになります。
ふるさと納税の寄付金限度額は、約8万円まで行えます。
iDeCoに入る場合
iDeCoの拠出が年間27.6万円ありますので、所得額が差し引かれ472.4万円となり、給与所得は323万円となります。
所得税は、約22.5万円、翌年の住民税は約32.3万円となり、税金負担は合計は54.8万円となります。
この時点で、iDeCoに入るだけで、61万円-54.8万円=6.2万円の差額が発生し、単純にその分の税金支払が減ります。
また、ふるさと納税の寄付金限度額は、7.4万円となります。
比較結果
iDeCoに入る場合は、6.2万円の節税ができますが、ふるさと納税の控除限度額は0.6万円減ることになります。
ふるさと納税の返礼品の相場は、寄付金に対して30%が相場となりますので、0.6万円×30%=0.18万円 となります。
つまり、6.2万円-0.18万円=約6万円 が、iDeCoに入ったほうがお得ということになります。
iDeCoに入ったところで、ふるさと納税の寄付限度額がそれほど下がるわけではないことと、iDeCoの節税効果の高さがはっきり計算として算出できましたね。
まとめ
iDeCoに入るとふるさと納税の限度額が減るから なんかお得感が減るんだよねー。
という方もそこそこいると思います。
今回のテストケースでは年収500万円のサラリーマンを見てみましたが、自営業であったり、所得が高い・低いなど条件によってはまた計算結果も変わってくるでしょう。
ですが、基本的にはiDeCoの節税効果の方が効果は絶大であり、ふるさと納税はあくまでおまけという概念で考えておいたほうが、実質お金が残ることになります。
iDeCoは近年に無い太っ腹な制度ですので、是非一度検討してみてくださいね。